グローバル視点：ロシアの不織布市場の現状に注目

周知のように、ある製品のある国での市場規模を判断するには、その国のこの製品の生産量、輸入量、輸出量を知るべきである。ロシアの不織布市場規模評価の難しさは、ロシア政府が統計した資料の中で不織布生産量は平方メートル単位で、輸入量と輸出量は千トン単位であることにある。

ロシア国家統計局の報告によると、2021年のロシアの不織布（フェルトを除く）の生産量は60億2700万平方メートルに達し、2020年の54億5300万平方メートルに比べて10.5%増加した（図1）。他の統計データを参考にすれば、ロシアの不織布及びその完成品（服装を除く）の2021年の生産量は74.40億平方メートルである。このうち、不織布の82%が中央区（モスクワを中心とする中央区）で生産され、14%がヴォルガ区で生産され、北西区とウラル区の生産量の割合はそれぞれ1.9%と1.1%で、その他の地域の割合は1%を超えなかった。

図1ロシアの2010-2021年の不織布（フェルトを含まない）生産量

連邦税関総署の報告によると、2021年1～11月のロシアの不織布輸入量は9.79万トンで、前年同期比9.7%増加した（図2）。ロシアの不織布輸入の最大供給国は中国とベラルーシであり、ロシアの不織布輸入総量に占める両国の割合はそれぞれ39.4%と21.8%であった（表1）。

図2ロシア2017-2021年の不織布輸入量と輸出量

注：同図及び図3、図4中の2021年の輸入量と輸出量は2021年前11ヶ月のデータに基づく予測である

表1ロシアの2021年1-11月の不織布輸入量

2021年11カ月前のロシアの不織布輸出量は2万9800トンで、前年同期比17.5%減少した。カザフスタン、ベラルーシ、ウクライナが主要輸出相手国であり、この3カ国のロシア不織布輸出総量に占める割合はそれぞれ25.9%、18.1%、13%であった（表2）。

表2ロシアの2021年1-11月の不織布輸出量

不織布の市場状況を理解するには、不織布を生産するための合成繊維とレーヨンの生産量、輸入量、輸出量にも注意する必要があります。2021年1～11月のロシア合成繊維の輸入量は前年同期比27.8%増の16万4000トンに達した。貿易規模が最も大きい輸入源国はベラルーシ、中国、韓国、ウズベキスタンである（表3）。

表3ロシアの2021年1-11月の合成繊維輸入量

2021年1-11月のロシア合成繊維の輸出量は0.88万トンで、前年同期比52.1%増加した。ロシアの合成繊維の主要購入国はベラルーシ（ロシアから輸出される合成繊維の総量のうち半分以上を占める）及びカザフスタン（ロシアから輸出される合成繊維の総量のうち1/4近くを占める）である（表4）。現在、2021年のロシア国内合成繊維の生産量統計資料は発表されていないが、2017-2020年のデータは図3を参照。

表4ロシアの2021年1-11月の合成繊維輸出量

図3ロシアの2017-2021年合成繊維生産量、輸入量及び輸出量

注：生産量データにはトウ、輸入量、輸出量データにはトウが含まれていません。

2021年1～11月のロシアのレーヨンの輸入量は2.04万トンで、前年同期比6.4%減少した。人造繊維は主に中国、インドネシア、インド及びオーストリアから輸入されている（表5）。ロシアの人工繊維の輸出量は極めて低く、2021年のデータは0.0092万トンだった。2021年のロシア製人工繊維の生産量データはまだ発表されていないが、2017-2020年のデータは図4を参照。

表5ロシアの2021年1-11月のレーヨン輸入量

図4ロシアの2017-2021年近くのレーヨン輸入量及び生産量

注意：生産量データにはトウが含まれています

作者について：

Mikhail Brusanov（ミハイル・ブルサノフ）は、モスクワ紡績学院織物技術科を卒業し、中国語に精通している。2012年から不織布の生産に従事し、現在はモスクワにあるMontem不織布会社で技術エンジニアを務めている。また、ロシアの「ポリマー材料」誌の兼職編集者であり、「不織布」のブロックを担当している。

（出所：中国産業用織物業界協会）